こんにちは。
きょうは久々に穏やかな日。連日、曇りの風ビュービューだったので屋根瓦の塗装ができず、少々焦っていたのだ。
塗装を終えて屋根から降りるとき、美術館前の駐車場で高級車でやってきた初老の紳士が車から降りて何やらケータイで電話をしている。
別に珍しい光景ではないのだが少々電話が長いので気になった。
教室へ戻るとカミさんがやってきて、
「お客様の車がパンクして、JAFを呼んだんだけど5時20分ごろになるんだって。閉館時間を過ぎるかもしれないけど、駐車場をお借りしてもいいですかと聞かれたから、いいですよと答えておいたからね。」
と話した。時計を見ると4時半だ。1時間も待たれるのか。
車を見に行くと後輪のタイヤが少しへこんでいる。徐々に空気が抜けているようだ。
これでは高速は走れない。
(イメージ)
JAFが到着するころには真っ暗になる。
お客様はご夫婦で、運転席のご主人はシートを倒し、休んでおられた。助手席の奥様はパソコンのようなものを膝に乗せて何かをしておられた。
僕に気付いた奥様がご主人を起し、運転席の窓を開けた。
「JAFが来る頃には暗くなると思います。明るい所へご案内しますからよろしかったらどうぞ。」と僕は声をかけた。
ご主人は「ありがとうございます。そうします。」と言って僕の後を車でついてきた。
美術館隣りの軒先には明るい蛍光灯がある。ここならJAFも修理がしやすいだろう。
僕はそのあと教室へ戻ったが、このお客様が気になって仕方がなかった。なぜなら楽しいはずの旅行が旅先のトラブルで楽しみを削がれた格好だ。
僕にも昔旅先でのトラブルはあったが、それまでの楽しさが一気に吹き飛んだのを覚えている。
このお客様にも折角来ていただいたのに嫌な思いでお帰り頂くのはお気の毒だ。
僕はたまたまあった頂き物のチョコレート菓子を2つ持って助手席の奥様を訪ねた。
「頂き物ですが、これを食べて気を取り直してください。」
不便な思いを少しでも和らげて欲しかったからである。
お二人は明るい表情で「ありがとうございます。お気遣いいただいて。」と答えてくださった。
結局JAFが来たのは5時20分過ぎ。1時間半もお客様は待ったわけだ。
その後も道向かいの駐車場に車を移して6時近くまで作業をしていた。
どうぞこのお客様に嫌な思い出が残りませんように。