館長の気ままな日記

三河工芸ガラス美術館の館長(オーナー) " カズ " こと神谷一彦の勝手気ままな独り言です。

三河工芸の館長が書く日記です

企業向け記念品 (7) 最終回

こんにちは。

デザインの境界線がぼけていない、凛とした迫力ある作品ができないものだろうかとさんざん悩んだ。

そんなゆとりなど無いはずの納期なのに・・・。あれこれトライもした。

そうして思いついたのがある方法。

それで彫りあがったのが・・・これだ。

f:id:mikawakougei:20150419003029j:plain (改良後)

そして試作の彫りがこちらだから違いは歴然。

f:id:mikawakougei:20150419003253j:plain (改良前)

 

改良後はエッジが鮮やかに立ち、ダレた感じがない。

うん、これなら納得だ。誰に見せても恥ずかしくない仕上がりだ。

ただし、とてつもなく手間がかかった。試作の彫り方の4~5倍はかかっているだろう。

ざっと作り方をお見せしよう。

まず、刃を折ってまで苦労してカットしたマスキングシートをガラスオーナメントに貼る。

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研磨材で傷ついたり汚れないように注意深く養生をする。

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彫っていく部分のマスクを剥がす。最初に彫るのはデザインの中で一番手前に来る部分だ。

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順番に彫り進めていき、最後に彫る部分が残ったところ。

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申し訳ないが、途中の工程は見せられない。企業秘密だからね。 仮に見せたとしても真似をする物好きな人はいないだろうけど。(笑)

そして最終的にA社様にお納めしたのがこちらの作品だ。

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自分で言うのも口幅ったいようだが、今回、本当に頑張って自分でも胸を張れる作品ができたつもりだ。しかも納期よりも1日早く仕上げることができた。

 

時々僕は、自分がお金儲けに向いていないと思うことがある。

試作の出来を見てお客様が気に入り、この通りに作って欲しいと言われたのだから、試作の通りに作っておけばこんなに苦労することなど無かったのだ。 頭のいい経営者ならその通りに作ってそこそこの利益は上げただろうに。

僕は技術屋上がりだから、どうしても儲けより仕上がりが気になってしまう。

 

夕方にA社の担当者様が作品を取りに来られた。

担当者様は作品を見るなり、「凄い!すごい!」を連発してしきりに感激していた。

彼も物作りに携わる人間だから作品に込められた情熱を感じるのだろう。

 

作り手の苦労が報われる瞬間だ。

 

あさって、A社社長自らの手で、協力会社に手渡される。

担当者様からは「来年も是非、制作をお願いします!」と嬉しいリクエストも頂いた。

来年もまた、苦労するのか・・・(笑)