こんにちは。
きょうは裏面のハンダ付け行うとしよう。作品を裏返しにする。
おっと !! 待った! 端っこを持って持ち上げようなんてもってのほか。
そんなことをしようものならガラスが割れるか、コパテープが引きちぎられる。
組み上げられたステンドグラスは強度が弱く、デリケートなので持ち運びはもちろん、裏返しにすることさえ細心の注意を要するのだ。
幸いこのステンドは幅が狭いので幅方向で持ち上げることは可能だ。
大きな作品となると縦にも横にも持ち上げられないので、僕は作品の下に薄いベニヤを滑り込ませ、さらに上にベニヤを置きベニヤでステンドをサンドイッチにしてベニヤごと裏返しにする。
それほど気を遣わなくてはならないのだ。
ハンダ作業が全て終了。今回、ハンダの縁取りを黒色にしてやろうと思う。黒にすることで作品がぐっとしまる。
これをパティーナ作業という。 薬液を使ってハンダの色を黒やアンティーク色(古い銅のような色)に変えるのだ。 機械設計の分野では鉄をサビから守る「黒染め」という工程のことだ。
まず、ハンダ部分をスチールウールで磨き、ハンダ表面の酸化皮膜を磨き取る。
スチールウールを使うのは適度な研磨力でガラスを傷つけず、ハンダだけを磨けるからだ。
力を入れて丹念に磨く。磨きが不十分だと綺麗な変色が得られない。
磨きが完了したら磨きくずを取り除いて、直ちに薬液を塗る。時間を置いてはいけない。
筆でこすりつけるように薬液を塗る。 するとシルバーだったハンダが瞬時に黒色になる。まるでマジックのよう。初めてこれをやる体験のお客様はほとんど歓声をあげる。感動的な瞬間だ。
本当は綿棒の方が力が入っていいのだが作業性を考えて筆塗りにした。
つづく