こんにちは。
研削盤NCレトロフィットプロジェクト、中心的なメンバーは4人。
依頼主である生産技術課のMさん、電気、シーケンス担当の同じく生産技術課の伊藤君(僕より年下)、組み付け担当の保全課野口組長、そして機械設計は僕だ。
このほかに相談役として深谷さんが付いてくれることになった。
依頼主をMさんとしたのは訳がある。このブログを読んでいるとは思えないが、名前を出すのをはばかられるからだ。
研削盤というのは平たく言えばグラインダーのことだ。研削という工程は機械加工の最終段階で行われる。
通常シャフトにしても、レールにしても初めの工程は切削だ。刃物で素材を削っておおかたの形状を作り、次に必要な部分に焼き入れをしてそこを硬くする。最後に硬くなった部分を研削盤の砥石で高精度に磨くのだ。
だから切削機械よりも研削機械は加工精度が要求されるわけだ。
僕はこういった工作機械は大隈で図面を見てきた経験があったので、ベアリングの使い方やボールねじの与圧のかけ方などよく知っていた。
ただ、研削盤というのは僕にとって初めて手がける機械なので勝手が分からず、現場を知り尽くした野口組長にはこっぴどくつっこまれたりした。
野口組長は江戸っ子のような歯に衣着せぬ性分で、僕が青二才だと思ってずいぶん現場に呼び出された。今思えば可愛がってもらっていたのかも。
(イメージ)
そして約1年が過ぎ、全ての図面が完成、いよいよ発注という日を迎えた。
何百枚という図面を検図する。そしてちゃんと組み立てできるかを寸法チェックする。
多分、丸二日、5~6回は検図した。これほど慎重になったことはない。
設計統括の石川さんがやってきて、
「神谷君、そろそろ図面出せる?」と聞いてきた。
(イメージ)
何度も検図したが、もしミスがあったら会社に2000万円くらいの損失が出る。
僕は「もう一回検図させてください。」と頼んだ。
「もう、何度も検図してミスはなかったんでしょ?大丈夫だよ。ここまでやって仮にミスがあったとしても、それは仕方ないじゃないか。 もしここでもう一回検図して、提出を明日に延ばしたとして、その結果ミス出たらそれこそ何をやってたんだってことになるよ。
神谷君、出そうよ。」石川さんは優しく言った。
図面はいよいよ外注製作に入った。