こんにちは。
今でこそ乗用車のブレーキは全輪ディスクブレーキが当たり前になっているが、1971年頃は、ディスクブレーキが一部の高級車やグレードの高いスポーティーカーに採用され始めた時期だ。それでも前輪のみディスク、後輪はドラムという構造だった。
それまでは4輪ともドラムブレーキが主流で、国産車でも日産サニーやトヨタカローラといった大衆車は全輪ドラムブレーキだった。
ドラムブレーキの利点は軽い力でも制動力が強力で、構造がシンプル、軽量であることだ。
半面、構造上ブレーキの放熱が悪く、繰り返し使用により、制動力が低下する。つまり高速走行向きでない。また、一旦ドラム内に水が入ると抜けにくく、全くブレーキが利かなくなるのだ。
西尾市に下町という交差点がある。そこはすり鉢の底のような地形で、近頃の「豪雨」とまではいかないまでも、ちょっとした大雨の度に、30センチほども冠水することで有名だった。
僕がまだ、免許取りたてのころ、冠水した交差点を家の車サニーで通った時は肝を冷やした。前方に車が止まっていたのでブレーキをかけたが全く利かない。何度も思いっきりペダルを踏んだが車は滑るように走った。
あわや衝突という寸前で止まってくれたが、心臓はバクバクだった。
その後は軽くブレーキを踏みながらゆっくりと走る。その内ドラム内の水が抜け、ブレーキは片利き状態になり、ハンドルが取られるようになる。
そして最後には全部水が抜け、正常に戻るわけだ。
ブレーキが利かない怖さをあの時初めて知った。
さて、マスタングの話に戻そう。
マスタングもマッハ1を除く下位グレードには全輪ドラムブレーキもあったようだ。
マッハ1は前輪ディスク、後輪はドラムという当時の先端仕様。だけどマスタングのブレーキの貧弱なことは有名なところだ。
ガスを満タンにして人が乗れば2トンにもなる巨体にしては小さな前輪ディスクブレーキ。現代の国産車と比較しても見劣りがする。
僕のマスタング友人が前の車に追突しそうになったと懐述していた。
まず、ブレーキローターの径が小さい。 そしてキャリパーだってご覧の通り、決して大きくはない。
もう少し詳しく。次回は分解してみる。