館長の気ままな日記

三河工芸ガラス美術館の館長(オーナー) " カズ " こと神谷一彦の勝手気ままな独り言です。

三河工芸の館長が書く日記です

中文 (中国語)

こんにちは。

 

心穏やかにして期待に胸膨らむ春。

花の香りにもまして華やいでいくよう。

 

軒先の雨だれに揺れるアジサイの花に、幼い日の母と私の記憶。

よりそってながめた雨の庭・・・・。

 

当館の彫刻鏡の部屋「四季」で流れるナレーションの一節だ。

この詩は僕がガラス美術館の目玉の一つとして思いついた「彫刻鏡の部屋」の演出のために考えた詩だ。

 

当時、美術館をオープンせるために連日夜遅くまで設計と演出に腐心していた。

母が亡くなって3年、母の思い出をだどるうちにこの詩がすらすらと頭に浮かんできて一晩で書き上げた。

 

きょう中国語のナレーションを引き受けてくれたのが隣り町に住む中国人のMさん。日本人のご主人と結婚して現在中国語の講師や通訳、翻訳などで忙しい毎日を送っている。

Mさんは若くしてお母さまを亡くされていて僕と少し境遇が似ている。

そのためか、この詩の内容にとても感動してくださって感情移入も素晴らしかった。

アジサイのくだりではお母さまのことが思い出され、涙ぐむ一幕もあった。

僕も思わずもらい泣きをしてしまった。

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彼女は中国語の標準語ともいえる北京語を話し、ソフトな声がとても魅力的だ。

「彫刻鏡の部屋」には中国語のナレーションが一番合うと想像していたが僕はそれをきょう、確信した。

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録音をカミさんに聴かせたところ、「すごくきれいなナレーション。きっといい作品ができるわね。」と喜んでいた。

 

Mさんのお父様はまだご健在で、中国で一人暮らしをしているそうだ。年に一度里帰りをするそうで、このナレーションと音楽のミックスができたら父にも聞かせたいと言っていた。

 

帰り際、「この年になると(遠くへ来て)ずいぶん親不孝しているなって感じるんです。」とちょっぴり寂しそうに笑う横顔が印象的だった。