館長の気ままな日記

三河工芸ガラス美術館の館長(オーナー) " カズ " こと神谷一彦の勝手気ままな独り言です。

三河工芸の館長が書く日記です

卒業記念

こんにちは。

今年も卒業のシーズンがやってきた。 出会いと別れが彩なす感動の季節だ。

この時期になると卒業記念品の製作に追われる。 ここ数年、市内のY小学校の卒業記念としてクリスタルのペーパーウェイトを彫らせて頂いているのだ。 山と紅葉の絵柄に学校名が入った構図。学校の先生によるデザインだ。周囲には個々の生徒さんの名前を彫って差し上げる。

ちょうどいい機会だからどうやって作っているかお見せしようか。

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直径7センチ、厚み1.7センチの丸形ペーパーウェイト、いわゆる文鎮だ。

こういった細かい文字や絵柄の彫刻は、体験コースなどで使う塩ビの粘着シートでは彫刻できない。ここでは製版という技術を使う。

 

まずは、デザインの原画から下の写真のような透明の製版フィルムを作る。 こういうフィルムをポジフィルムという。 これはうちでは作れないので、こういった設備のある印刷会社か製版業者に製作を依頼する。

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このフィルムを使って専用マスクシートを感光させ、絵柄を浮き上がらせる。

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こうして出来上がったのがブルーの色をしたマスクシートだ。 白い部分は穴の明いた所で、ここに砂が当たって彫れるわけだ。

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ブルーのシートに粘着はないので、ペーパーウェイトにプライマーと言われる粘着剤を塗る。

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ペーパーウェイトにマスクシートを貼る。ペーパーウェイトの丸と、シートの円がずれないように慎重に貼る。

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彫ってはいけない部分に研磨剤が当たらないように、紙テープで養生をする。

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ブラスト機に入れ研磨剤を吹き付ける。 プライマーの粘着はさほど強くないので慎重にブラストする。プライマーの薄いところや、細かなゴミが混入しているとマスクが剥がれやすくなり、剥がれれば一瞬で不要な場所が彫れてしまい、商品価値が無くなってしまう。

気の抜けない作業なのだ。

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ブラストが終了して彫りあがったところ。1ミリくらいの深さを目標に彫る。

さっと、すりガラス状にするだけなら何のリスクも無いのだけれど、やっぱり迫力ある彫刻面にして差し上げたいので、リスクを覚悟で深彫りに挑戦するのだ。

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マスクを剥がして水洗いすれば完成だ。 ここまで全て手作業、子供達の喜ぶ顔を想像しながら心を込めて仕上げていく。

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丁寧に箱詰めして生徒さんの元へ届ける。

喜んでもらえるといいな・・・。