館長の気ままな日記

三河工芸ガラス美術館の館長(オーナー) " カズ " こと神谷一彦の勝手気ままな独り言です。

三河工芸の館長が書く日記です

ルーターが壊れた !!!

こんにちは。

きょうは第四土曜日。午前も夜もステンド教室があるハードな日だ。

夜の教室での出来事だった。

生徒さんの作業のタイミングにもよるが、ガラスカットの生徒さんが多いとルーターが混雑することがある。

ルーターとはガラスカッターで切り取ったガラスを正確な寸法に仕上げるグラインダーのことだ。

うちの教室には現在ルーターが5台あるが、そのうちの一台が突然動かなくなった。 前から大きな音がするようになっていて、調子の悪い1台だった。

教室の生徒さんは大量のガラスを速く削ろうとして、無理な力で砥石に押し付けるため、たいていモーターの軸受けがすり減ってしまい、寿命が短くなるのだ。

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以前にも修理を試みたことがあったが、その時は上手く直せなかった。

今回もダメもとで修理を試みる。僕は技術屋なのでたとえ安くても新しいものにポンポン買い替えるのは好きじゃない。 直して使えるものはとことん直して使いたいと思う。

まず症状を見ると、スイッチを入れた瞬間、軸が2ミリほど持ち上がり、そのままブーンと音がして止まったままだ。スイッチを切って、指で軸をつまんで回すと重いが動く。

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ケースを分解してみる。モーターと配線だけのシンプルな構造だ。

モーターの軸はラジアル方向(軸と直角方向)のガタは思ったより少ない。その代りスラスト方向(軸方向)のガタは2ミリ近くある。

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どうやら読めた。スイッチを入れると軸が持ち上がり、ローター(回転するコマの部分)がステータ(銅線を巻いた回転しない外側の部分)の穴に当たって回転できないのだ。

なぜ浮き上がるのか。使い続けたことでシム(座金のようなもの)がすり減り、上下のガタができたのだ。

さらに軸受けを固定する部分が鍋のような形になっていて、横方向の力が加わると滑って上に抜けてしまうのだ。

すり減ったシムの厚みを補ってやればいいかも。

ちょうどいい座金が無いので大きめの座金をサンダーで削って外形を小さくする。

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出来上がったのがこんな感じ。右は元の座金、左が手作りのシムだ。サンダーの熱で焼けている。

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すり減ったシムの奥に手作りシムを入れ、摩耗防止にモリブデングリスを吹き付ける。

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モーターを元通り組み立ててみるが、今度は隙間が無く、キツくて手でも回らない。

もう一度分解してすり減ったシムを1枚抜いてみる。

よしっ! 今度こそほどよい隙間で指でスムーズに回る。

ケースを元通り組み立てて、スイッチ・オン!

回る~! 前より静かに回る。

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やった~!! これぞ技術者の誇り。32000円の節約になった。

カミさんも大喜び。 でも、修理代はくれなかった。

 

因みに所要時間は50分だった。