館長の気ままな日記

三河工芸ガラス美術館の館長(オーナー) " カズ " こと神谷一彦の勝手気ままな独り言です。

三河工芸の館長が書く日記です

グランドホテル山海館10 塗料密着試験

こんにちは。

きょうはちょっと体を動かす作業をすると汗ばむくらいに日中は暖かかった。

お陰できょうは快適に塗装が出来た。

 

実はこのところの僕はちょっとナーバスになっている。気がかりなことがあるからだ。

グランドホテル山海館さんの仕事だ。

アートガラスを作ること自体は本業なのでお任せあれと言えるのだが、問題はその使われ方なのだ。

 

山海館の会長さんは浴室と脱衣所洗面に飾りたいと言っている。どちらも鏡の置き場所としては非常に条件が厳しい。とくに大浴場の中は酷だ。常に蒸気にさらされる、高温多湿、お湯だってかかる。常に濡れた状態なのだ。

通常浴室内にはデラックスミラーという防湿鏡を使う。もちろん今回も防湿鏡を使う。

それ自体は問題ないのだが、それに彫刻するということが問題なのだ。

彫刻した面は防湿塗料が削られてしまうのでそこから湿気が入るからだ。

 

最初は会長が目を輝かせて希望を言われるので、何とかなるだろうという気持ちでお受けしたのだが、一般的にガラスに塗料は密着しないというのが定説になっている。

 

防湿鏡は鏡のメーカーが特殊塗料を鏡の裏に焼き付けているそうだ。これは僕には真似できない。

 

お断りすることもできたのだが、今となっては何とかするしかない。

 

先日来、複数の塗料を取り寄せて実験の準備をしている。

これは塗料の密着試験。ガラスの表面を油膜落としで良く磨き、

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そこへ四角いマスキングシートを貼る。ガラスの半分を紙テープでマスキングし、半分をサンドブラストですりガラスにする。

これに塗料を吹き付けてツルツル面とブラスト面の密着度を見るのだ。

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こちらはもう一つの試験。

鏡の裏側にマスクを貼りサンドブラストで深堀りする。ここへ顔料で色付けをするのだが、その上から塗装する防湿塗料によって顔料が溶剤で変質しないかのテストだ。

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どれも上手くいかなかったらどうしよう・・、という不安でいっぱいだ。

来週中ごろには鏡が入荷するのでそれまでには結論を出さないといけないのだ。