こんにちは。
下準備には本当に手間がかかる。
鏡が楕円なのでこのままブラスト機に入れると鏡が安定しない。そこで鏡の裏側に四角い板を当てることにした。ベニヤ板ではもったいないので段ボールを使うと段ボールでは研磨剤が当たってすぐに穴が開いてしまう。
そこで段ボール表面に粘着シートを張る。そして段ボールと鏡の間にマスキングテープを貼る。間に研磨剤が入ってガラスを傷つけないようにだ。
さて、きょうは表(おもて)面のブラストだ。
体験のサンドブラストは通常彫りっぱなしのすりガラス状になるのだが、ここでは薬液を掛けてフロスト仕上げにする。
フロスト仕上げ?
フロスト仕上げとはスリガラスの表面を薬液で少しなめらかにし、やや半透明な感じにすることだ。
フロスト‥言葉の通り、ガラスに霜が降りたようなしっとりした風合いになるのだ。さらに指紋も付きにくい。
薬液は工業的にはフッ化水素酸を使う。これは命に関わる危険な劇薬なので一般の人は扱えない。
そこで僕が使うのは「オルガチックス I-115G」という薬品だ。 スリガラスの表面にガラス質膜を形成する優れものだが、これも発ガン性が疑われるなど、危険なため随分前に生産中止になった薬剤だ。
僕は生産中止になる前に買ったものが数本残っていてこれを大事に使っている。500ml1本で7000円もする高価なものだ。
現在の所、これに代わる製品は発売されていない。
強い刺激臭があるので防毒マスクにゴーグル、手袋をして強制換気しながら扱う。
エアーブラシでムラの無いように注意深くスプレーする。
オルガチックスは乾燥固化が速く、数時間で指触可能だが、マスクを剥がすのは明日にする。
できれば今夜中に10枚全て彫り上げたいところだ。