館長の気ままな日記

三河工芸ガラス美術館の館長(オーナー) " カズ " こと神谷一彦の勝手気ままな独り言です。

三河工芸の館長が書く日記です

ガラスオーナメント濃淡付け

こんにちは。

 

きょう一日、濃淡付けの準備作業に追われた。薬液のミストが作業場に拡散しないように天井から垂れ壁を作る作業だ。

アルミアングルを天井に取り付けそのアングルにポリカプラダンをねじ止めする。

天井は虫食い模様の石膏ボードなのでネジの直打ちは抜けてしまう可能性がある。だからエビモンゴという商品名のアンカーをねじ込んでからビス止めする。

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さて、濃淡付け作業はエアーブラシとマスクを使い、手作業で行う。薬剤はオルガチックスというガラス専用の表面保護材で、強烈な有機溶剤臭と発がん性があるなど危険なので現在は製造中止となっている。10年ほど前に購入した物が残っていてほとんど使わないことからこの時期A社のオーナメントにのみ使用している。

溶剤に侵されず大変丈夫な皮膜をつくることから高価ながら使用してきた。

僕の知る限りではこれに代わる薬剤は未だ現れていない。今は在庫分を使って仕上げるしか手がない。

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途中だがこんな感じに濃淡が付いていく。黒い部分は透明に近くなっているわけだ。色が付いているわけではない。

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表から見るとこんな仕上がりになる。

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僕はこの濃淡付けを「トーニング」と呼んでいるが、ひとたびトーニングしたサンドブラストを見るとサンドブラストしっぱなしの真っ白な彫面はつまらなくなる。

 

デリケートな技術を要する細かい作業だが、やらないわけにはいかないのだ。