こんにちは。
名城大学時代の同級生に小川富之君がいた。
自宅は名古屋市南区呼続(よびつぎ)にあった。たしか、お姉さんと妹の3人兄弟だったと思う。
コーヒー通で当時は珍しく自分で豆からドリップするくらいコーヒーが大好きだった。
僕らはあまり勉強をしない学生だった。
みんなアルバイトをし、車につぎ込んだり、オーディオにふけったりしていた。
だから試験の時など、授業のノートを回しあって何とかしのいでいた。
友達の中に頭のいいU君がいて、彼が試験前にみんなを集めて分からないところを教えてくれた。
その小川君だが、卒業を目の前に単位が足らずに落第してしまった。
就職先が決まっていただけに彼の落胆ぶりは尋常でなく、正門の坂を上がったところにある縁石に頭を抱えて座り込んでしまった。
僕らだってぎりぎりセーフの卒業だったので、彼の落胆ぶりは身に染みて感じた。
その彼が次の日、突然死んでしまったのだ。
訃報を聞いた時、落第を嘆いて自殺したのかとも思ったが、就寝中に嘔吐し、嘔吐物をのどに詰まらせた窒息死だった。コーヒーを飲みすぎて胃を荒らしていたのかもしれない。
僕たちはその朝、何人かで彼の自宅に駆け付けた。
僕は冷たくなった彼の額に手を当てて、本当に死んでしまったことを感じた。
僕が心残りなのは、彼のことはそれっきりなのだ。誰も彼の葬儀には参列していないし、墓参りさえしていない。
一度墓参りをしたいし、もし、彼のお母さまがご存命なら訪問してみたい。ご姉妹にも一度ご挨拶して当時の話を伺いたいと思うのだ。
これは45年近く経った今でも毎年思うことなのだ。
呼続もずいぶん変わってしまって当時の様子とはまるで違うだろう。
もう、彼の家さえ覚えていない。
だから情けないことにいまだにその思いを遂げられずにいる。
どなたか小川君のご家族をご存じでしたら、このことをご家族にお知らせ願えませんでしょうか?