館長の気ままな日記

三河工芸ガラス美術館の館長(オーナー) " カズ " こと神谷一彦の勝手気ままな独り言です。

三河工芸の館長が書く日記です

逝った先輩たち (10) Fリーダー5

こんにちは。

深谷さんのことを少しお話ししておこう。

深谷さんは幡豆町禰宜さんの息子で僕より一つ年上。中部工大(現 中部大学)の機械科卒。大学を卒業後、町工場に近い小規模の中小企業に入社、メイテックは中途入社だった。

僕と大いに違うところは、深谷さんはは現場のたたき上げだった。 彼は自分で試作や治工具を現場に出て作っていた。だから旋盤やフライス盤といった工作機械を扱い、どんな工具(刃物)を使うのかにも精通していた。

彼もまた現場でしごかれたのだ。

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一方の僕は在学中に、実習で旋盤やボール盤(ドリル穴明け機)を1~2回扱っただけで消化不良のまま卒業し、大隈で描いた図面が製品として完成した物は見てきたものの、果たしてどうやって作ったかなど、ほとんど見ていないのだ。

だから僕みたいなぬるま湯に浸かったぼんくら人間の描く図面など、絵に描いた餅のようなものなのだ。実際、図面に描いた物は何でも作れると勘違いしていた。

 

深谷さんの口癖はとにかく「現場に出ろ」だった。

現場で加工するところを見たり、自分が作ったジグが使いやすいかどうか聞け。 自分で加工方が説明できないような図面は描くな というわけだ。

まったくもって、ごもっとも。m(_ _)m

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そんな「イヤミ課長」であった深谷さんだが、仕事を離れるとひょうきんな一面を覗かせることもあった。

彼は僕よりちょっと背が高い175センチ。脚は残念ながら僕よりうんと長く本人もそれを自慢していた。

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設計室には統括の石川さんが昼の休憩に使うゴルフのアイアンが置いてあったのだが、 深谷さんはそれを股の間に挟んで立ち、「神谷君、どうだ?俺の脚とアイアンの長さと同じ!」と、ニコニコしながら僕に見せる。

 

そんなときは

「グリップがケツの穴にめり込んでんじゃねーの。」と切り返してやるのだ。