館長の気ままな日記

三河工芸ガラス美術館の館長(オーナー) " カズ " こと神谷一彦の勝手気ままな独り言です。

三河工芸の館長が書く日記です

1971 マスタングマッハ1 右クォーターパネル13 防錆塗装

こんにちは。

 

随分と手間がかかったが溶接がすべて完了、パネルの取付けが終わった。

マスタングの最も錆びやすい部分、クォーターパネルのホイールアーチとホイールハウスの継ぎ目部分に必殺錆封じとガードセプターを特殊スプレーノズルを作って吹き込む。継ぎ目は狭い奥の方なのでここは勘だ。

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クォーターパネルとロッカーパネルの溶接部分にはPOR-15シルバーを塗る。

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奥に見えるはホイールハウスだ。右が室内側。

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ホイールハウスの後ろ側、つまりトランクの横の部分。ここは水が溜まりやすいため、ほとんどのマスタングが錆びて穴が明く。

ここには継ぎ目に水が入らないように染めQの筆塗りシーラーを塗る。

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溶接部にパテを塗るためマスキングをする。

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塗ったのは染めQのアルミパテ。ガラス繊維が入っているため強度はあるが塗りにくい。

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ボデー外観じゃないのだから何もパテを塗る必要など無いと思うのだけれど、なるべく補修の痕跡を見せないようにするのが僕の流儀なので敢えて仕上げることに。

これはホイールハウスの前側、クォーターポストの内側だ。

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こちらはリヤのサイドマーカー内側だ。

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パテを適当に磨いたらPOR-15のラストプリベントとタイコートプライマーを塗る。

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奥の方まで手を伸ばして塗る。

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このあと、周りと同じ黒い制震塗料を塗って内側は完了だ。

 

 

冒頭のブログタイトルすぐ下にある「マスタングレストア」の文字をクリックするとレストアに関する記事をご覧いただけます。ご興味のある方は是非どうぞ。

体験 沢山の出会い

こんにちは。

 

きょうは朝から団体体験だった。お客様の行程の都合で美術館始業前の9時45分スタート。

こういう特別な時間の計らいは時々ある。お客様のどうしてもというお願いをこちらに特に不都合が無ければお受けしている。

 

今回は小学校6年生の親子さん24 名でサンドブラスト体験をしていただく。

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全体の流れの説明は例によってカミさんが行う。僕はその後の個別の補足説明とブラスト作業を担当する。

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6年生ともなればサンドブラストは十分にできる。

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大人だって真剣だ。

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出来上がったら簡易撮影ブースで作品の集合写真を撮っていただく。

大いに盛り上がるひと時だ。

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そして午後からは街のふれあい教室、バーナーワークの2回目だ。

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向こう側のお二人は親子さんだ。会話が楽しげである。

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出来上がったガラス球を軸から外して穴を掃除する。

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皆さん、初めてだけれど、ちゃんと綺麗なチョーカーができた。思わず笑みがこぼれる。

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「前から来たいと思っていたんだけれど、やっと来れましたわ。」

 

ガラス工芸というとちょっと敷居が高いのかしら。 もっと気軽に参加してくださればよいのに。

一度やってみれば虜になることうけあいだよ。(笑)

ステンドづくしの一日

こんにちは。

 

きょうは第四土曜日、午前と夜のステンド教室の日だ。

普通なら午前と夜の間に7時間、ステンド以外の仕事をする時間があるのだが、きょうはふれあい教室ステンドペンダント教室の初日。

今回、年齢層はちょっと高めだが、毎回来てくださる方もいて、ステンドグラスの潜在的需要が大きいことを感じた。

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最近のふれあい教室は「気軽に」に主眼を置いてあまり凝ったものよりも簡単で短時間に出来るものに知恵を絞っている。

製作時間は1時間足らずだ。

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ふれあい教室が終わったらN邸向けステンドグラスの製作だ。

きょうはパティーナ作業。

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ハンダが黒くなると作品がぐっと締まる。

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これが終わるとやっと一枚目の完成だ。残りは3枚。納期は3月10日だ。

 

この後7時から夜の教室。

10時間半ぶっとうしのステンド作業だ。

1971 マスタングマッハ1 右クォーターパネル12 取付け3

こんにちは。

 

タック溶接(点溶接)を続けていく。

クォーターポストとクォーターパネルのプラグ溶接。

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一か所溶接が終わったら次はなるべく遠い所を溶接する。

溶接したらマイクロバーナーであぶってハンマーと当て金で叩く。ノギスでギャップの寸法を測りながら何回かに分けて叩く。

溶接電流は鉄板の厚さの規定値よりも強めの電流で行う。弱いと裏側まで融けずに強度不足になるからだ。かと言って気を抜くとすぐに溶け落ちて大穴が明いてしまう。特に広めのギャップの時が要注意だ。

そんな時は裏側に銅板を当ててやると溶け落ちが少ない。

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一回の溶接時間は0.3~0.5秒くらいだ。1秒も当てたら間違いなく穴が明く。

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溶接が進むにつれ点の間隔がどんどん狭くなっていく。

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そのうち狙った点だけ叩くのが難しくなるほど隣が近くなる。そんな時は隣を削ってやるのだ。

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慎重にはやっているが、やっぱりへこみが出てきた。

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だいぶ進んできた。

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最後の方はギャップ寸法が測れないので適当に叩く。

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もうちょっとだ。

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溶接完了。溶接部は周囲よりややへこんでいる。が、これでいいのだ。出っ張っていたらパテが盛れないからね。

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写真で流れを見ればあっという間だが、ラインの修正やフィッティングで大変な労力が要った。

フクロウのステンドグラス 木曜教室

こんにちは。

 

きょうは木曜教室の日。HIさんのフクロウが完成した。実に2年越しの作品である。

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HIさんはまだ初心者の口だが初めてのパネル製作でいきなりの上級向け作品を選んでしまった。

製作途中で何度もアドバイスさせていただいたがガラスが上手く切れずにずいぶん苦労しておられた。

カット、ルーター仕上げをしたガラスをパターン画の上に並べたところ、すき間だらけだった。

ご本人もとても気にしていたが完成してみればなんということはない。立派なものだ。

 

きょうは額に入れて完成の運びとなったわけだ。

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作品を手にしてご満悦のHIさん、この二年間の苦労はきっと自信につながったことだろう。

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続いての作品はSBさんの壁掛けプランター。中央の鏡の前に鉢の形のバケットが付いていてそこにミニプランターを入れるようになっている。但し、SBさん、プランターではなく、ペンを入れるんだそうだ。アーン。

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ステンドグラスに鏡を使うのはあまりよろしくない。ハンダのフラックスは酸で、鏡のメッキを腐食するからだ。

今回も腐食止めのニスを切り口に塗ったのだが腐食してしまった。

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SBさんはステンドグラス大好き人間で、教室以外でも家で作るそうで、次々と作品を完成させる。

若くて美人さんなのでお顔をお見せしたいところだが、顔出しはノーなんだって。

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ステンドグラスを教えてくれる僕が死んだらどうしようって心配してくれているらしいが、オイオイ、まだ当分死にゃしないから。(笑)

1971 マスタングマッハ1 右クォーターパネル11 取付け2

こんにちは。

 

いよいよ右クォーターパネルのレプロ溶接を行う。

パネルワークで一番厄介なのが溶接ひずみだ。その溶接ひずみを何とか減らせないものかといろいろ実験をやったがことごとく徒労に終わった。

mikawakougei.hatenablog.com

 

この時の記事の最後にあるアイデアが浮かんだと書いた。

つまり、こうだ。

 

物の書に寄ればアーク溶接の温度は4000度以上になるらしく、鉄は瞬間に溶けてお互いにくっつく。この時鉄は熱膨張していて常温に冷えるときに収縮をするわけだ。これは防ぎようがない。そしてこの収縮がひずみの原因になるわけだ。

僕が思いついたのは、だったら収縮した溶接部分をまた伸ばせばいいじゃん、ということなのだ。

 

どうするかというと、溶接部を叩いて潰すのだ。潰した部分は横に伸びるという訳だ。

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これは溶接部を拡大した写真。鉄板のギャップに数字が書いてあるが、これは溶接前の隙間寸法だ。

たとえば中央の溶接部の上に1.8、下に2.0と書いてある。溶接後は、このすき間がそれぞれ1.6と1.8になっていたとする。これが元通り1.8と2.0になるように溶接部を叩くのだ。

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そのまま叩くと溶接部が割れることがあるので溶接部をマイクロバーナーであぶって焼きなまししてから当て金とハンマーで潰すのだ。

一つ溶接したらバーナーであぶり当て金とハンマーで溶接部をつぶす。

手の届く場所なら一人でやるが、両手で届かないところはカミさんか息子の手を借りて行う。

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バカげているほど途方もなく手間のかかる作業だ。

 

こんなことをプロのレストアラーがやるわけないわな。

ステンドグラスのコパー巻き2

こんにちは。

 

きょうは午後から "ふれあい教室" のバーナーワークがあった。今日が初日だったが参加者が比較的若く、製作が順調で早くに終わった。

 

そのため "ふれあい教室" 終了後はカミさんもコパー巻きを手伝ってくれ、ほぼすべてのガラスを巻き終わった。

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僕が丁寧にガラスカットをしたのでルーター掛けなどバリ取り以外はほとんどナシ。だからとてもスムーズにコパー巻きが出来たのだ。

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多分、明日からハンダ付けに行けそうだ。