館長の気ままな日記

三河工芸ガラス美術館の館長(オーナー) " カズ " こと神谷一彦の勝手気ままな独り言です。

三河工芸の館長が書く日記です

スポット溶接機 2台目

こんにちは。

 

「また買ったの?しかも同じ機械を。」

カミさんが苦笑いして言う。 そう、また同じ溶接機だ。

いや、正確にはちょっと違う。付属品が違うのだ。今回はふところ深さの違うUアームが2つ付いているのだ。

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実は今回、このUアーム目当てで購入したのだった。

Uアームは鉄板の端から遠い奥の方の溶接をするときに使うもので、新品なら小さい方でも5~6万円。大きいものだと10万円以上はする。

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それを今回ヤフオクで本体込みで破格のなんと18000円、送料入れても3万円足らずと非常にラッキーな買い物だった。

こんな買い物滅多に出来るものではない。

 

ところがエアーガンのスイッチを押しても発火しない(通電しない)。どうやらスイッチの故障か断線のようだ。

 

ここはなんとか修理して使い物にしたいところ。ガンの構造が分からないのでとりあえず分解してみる。

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ネジを外してもシリンダーが二つに分かれるだけでスイッチにアクセスできない。

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でもまあ、この方が軽くて作業しやすい。スイッチの頭を外してナットを緩める。

何とかスイッチを取り外す事が出来た。

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ハーネスを見ると不自然にくびれが。この辺りが怪しい。

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ゴムのチューブを切って中の電線を見ると、「はは~ん、ここだな?」

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電線を引っ張ってみるといとも簡単にちぎれた。銅線が二本とも切れていたのだ。

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8センチほど短くして電線を剥いてみると、よしっ!ここなら綺麗なままだ。

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スイッチにハンダ付けし直して熱収縮チューブで絶縁する。

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スイッチも不調だったので接点復活剤を注入して元気にする。

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組み立てて、よしっ!ちゃんと発火確認。

初めに購入したスポット溶接機より、ちょっと強力だ。劣化が少ないのかも。

 

これで我が家の溶接機は4台になった。

もうできない溶接はない。あとは腕だけ。(笑)

となりの田んぼ とんび舞う

こんにちは。

 

きょうはお昼過ぎからとなりの田んぼの稲刈りが始まった。

稲刈りは秋の風物詩だ。昔の鎌で稲を刈るのどかな風景とは違うが、コンバインであっという間に刈り取られていく様は見ていて飽きない。

 

コンバインが通り過ぎたあとにはいつもスズメやカラスが降りてくるのだが、今回は二羽の大きなトンビがやって来たのでカメラを持ち出した。

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トンビは速い動きで上空を旋回しながら時には急降下し、風をうまくとらえてまた上昇する。

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コンバインの動きを伺っているかと思えば、次の刹那急降下し稲穂のすれすれをかすめたあと、何かを捕まえてまた上昇するのだ。

 

トンビは視力がいいらしい。あんなに上空から稲田の一点をめがけてタッチ・アンド・ゴーを繰り返す。

恐らくコンバインに驚いたバッタやイナゴが逃げ出すところを捕らえるのではないか。

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僕はもっとトンビの近くへ行こうと、美術館3階に上がった。窓のすぐ近くまでやってくるのだが、動きが速くて僕の古いデジカメではなかなかその雄姿を捉えることができない。

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その時、偶然にも窓の近くをかすめたトンビを捕らえることができた。 かっこいいなぁ。

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向こう側には相方が電線に留まっている。

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あんなに自由に大空が飛べたら気持ちいいだろうなぁ。

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そういえば子供のころ、空を飛ぶ夢を見たことがある。このブログを書いていて思い出した。

空の上の方から下の方に滑り降りて、近くの梨畑の上すれすれを飛んだ。ドローンの動画のように地上の景色を見下ろしたのだ。

空を飛ぶのがあんなに気持ちよく素敵なこととは初めて知った。夢見心地とはまさしくこのことだ。

 

大人になった今、頭も心も常識で塗り固められて、夢ですら空を飛ぶことはなくなった。

スペクトラム廃業回避?

こんにちは。

 

今年の5月に廃業を通知してきたスペクトラム社。7月まで製造を続けその後は在庫が尽きた段階で廃業という事だった。

ということで、うちも大量にガラスを買い付けた。(と言っても教室向けに買ったものだけど)

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スペクトラムガラスと言えばステンドグラスを一度でも習ったことがある人なら知らない人はいないほどポピュラーでベーシックなガラスだ。

ガラス質は艶やかで色柄も豊富。カットしやすく、価格もステンド用ガラスの中では最もリーズナブルだ。

したがって入門者が最初に買うのはまずこのスペクトラムだ。うちのステンド教室でもこのガラスが一番よく売れる。体験コースのステンドガラスもスぺ(スペクトラム)が最も多い。

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この慣れ親しんだスペクトラムが廃業となるとステンド業界には大問題で、うちのステンド体験コースも値上げせざるを得ないだろう。

 

なぜ、廃業するのだろう。理由は二つ、環境問題と経営難らしい。

 

ご存じだろうが、ガラスの着色には多くの場合酸化金属を使う。例えば青はコバルトや銅、緑はクロム、茶色は鉄、赤は金といった感じ。他にもカドミウムセレンと言った環境負荷の高い金属もよく使うのだ。

環境問題に厳しいアメリカの行政が黙っているはずがない。人体に有害な金属の使用差し止め命令を出せば企業は操業できなくなる。

日本でも豊洲市場が土壌汚染で揺れているのと同じだ。

 

もう一つは経営難。アメリカの高い人件費と高額な環境税が経営を圧迫しているのだろう。

 

ここへ来てそのスペクトラム社の継承者が決まったというニュースが今日、入って来た。

カリフォルニアに本拠地のある "オーシャンサイドグラスタイル″ という会社らしい。工場はメキシコとか。

ひとまず安心。

 

一方でウロボロス社が廃業を決めたらしい。

僕がステンドグラスを始めてからもう3~4社が廃業している。ちなみに日本国内にステンドガラスメーカーは無い。

 

ステンドグラスの未来は厳しい。

1971 マスタングマッハ1 ドアの取り外し取付け台3

こんにちは。

 

取り外してみると、一見綺麗に見えたドアもあちこち補修してあることが分かった。

まず、ドアの下部。黒く塗られているのでボデーに取り付いた状態では分からなかったが、台に寝かせてみると前から後ろにかけてリベットが打たれているのが分かる。

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ドアの下はウインドガラスの隙間から侵入した雨水が溜まりやすく、排水口はあるものの錆びやすい場所ではある。

裏から見るとリベットの頭がびっしり連なる。

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これは錆びて穴の明いたドアの下部に上から鉄板を当ててリベットで固定し、シーラーを塗って塗装したのだ。つまり、そこは鉄板が二重になっている。見た目にもちょっと厚くなっているのが分かる。

 

僕はこういう補修のやり方は嫌いだ。二重になった鉄板の合わせ目は当然錆がどんどん進行し、いずれ穴が明く。何より根本治療をしないで見た目だけつくろえばいいという考えがイヤだ。

ドアシェルの内部にもあちこち錆が来ているので、ここは新品のレプロドアを購入してみる。

 

位置の調整は取付け台のお陰で楽々だ。

レプロのドアはDynacorn製だけあって非常に良く出来ているが完ぺきではないようだ。

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ラインがオリジナルと微妙に違う。ドアジャムもご覧の通りちょっと不揃いだ。まぁ、このあたりはオリジナルだっていい加減だったのだからこんなものだろう。パテ盛りか叩いて調整することになる。

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ドアをオリジナルと同じ位置に調整すると、ヒンジのボルト穴が合わないぞ。 穴を削って広げるしかない。こんなことにはもう、慣れた。

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あとはフェンダーを取り付けてみて、全体のマッチングを見るつもりだ。

この時にあまりに合わないようだったら錆びたオリジナルを修復して使うこともアリエール。

その場合、新品のレプロは無駄になるが。

 

こんなことはしょっちゅうだね。(笑)

インプラントって一生ものじゃなかったの? 2

こんにちは。

 

手術後1週間は顎が腫れ、傷口から染み出る出血を殺菌うがい薬で日に何回となく口をすすぐ。

痛み止めを飲みながら1週間を悶々と過ごした。食事もろくに喉を通らない。片方の奥歯ではまともに噛めないからだ。

当時、僕はすでにサラリーマンを退職してガラス工芸の自営をしていたので誰にも迷惑をかけることはなかったが、これがサラリーマンだったらとても仕事なんてできなかったろう。

カミさんもできるだけ僕が食べられるよう、おかゆにしたり、おかずを軟らかく煮てくれたりした。

 

毎週、名古屋まで通い、消毒しながら経過観察をする。義歯をかぶせて何とか噛めるようになったのは2~3か月してからだったと思う。インプラントの周りに骨が出来て安定してからなのだ。

僕はこのインプラント手術にざっと60万円を支払った。

 

10年くらい経った頃だろうか、インプラントを埋め込んだあたりが痛くなった。

急いで名古屋の先生を訪ねると、

「炎症を起しているね。歯はぐらついていないようだから大丈夫。ヨードで消毒して様子を見よう。」

「先生、インプラントってずっと使えるんですよね。寿命はあるんですか?」

インプラントの寿命? 大体15年くらいだよ。」

先生は平然とそう言い放った。

 

「え~っ、それじゃ、そのあとは‥?」

「取り出すしかないねぇ。」

 

これを知っていたら僕は手術をしただろうか。 ‥分からない。

 

その後は痛みも治まり、炎症はなくなった。

それからというもの、僕は少し痛みが出ると先生がしたように「イソジン」で義歯と歯茎の隙間を消毒するようになった。

 

インプラントは自分の歯と同じように噛める? 本当だろうか? 少なくとも僕にとってはそんなことはなかった。固いものを強く噛むと痛みが走るし、その後炎症が起きる。

この25年間、僕はインプラントをいたわるように大事に使ってきた。ウォーターピックも歯間ブラシも使い、口内トリートメントも行った。食後はすぐ歯を磨いた。

 

それでもこの1年くらい前からなんとなく奥歯がぐらつく感触があった。時々痛みもある。そんな時はイソジンで消毒するのだが、だんだん痛みが治まらなくなってきた。

 

不安になって、現在のかかりつけ医である安城市のSN歯科で診てもらうと、

「神谷さん、インプラントが完全に動いちゃっていますね。だからブリッジをかけた糸切り歯に負担がかかって崩れちゃってます。」

「先生、どうすれば‥。」

「取り外すしかないですね。紹介状を書きますから刈谷豊田総合病院の口腔外科を受診してください。」

 

 

「かなり初期のインプラントですね。インプラントの上から歯周病菌が侵入して骨の一部が溶けてしまっています。」

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刈総の先生はそう説明し入院手術を希望するか日帰り手術を希望するか尋ねた。

僕は日帰りを選んだ。麻酔の種類が違うのだ。

あの辛く苦しい30分がまたやってくる。

 

手術は1か月後に決まった。

列車人身事故

こんにちは。

 

きょうも名鉄線で人身事故があった。 今年は多い。

先週も岡崎で人身事故があった。女子高校生2年生だったそうだ。警察は事故と自殺の両面で調べているらしいが、恐らく自殺だろう。

今年は毎月のように人身事故がある。西尾駅から名古屋まで毎日名鉄電車で通勤している娘もしばしば足止めを食らい、怒り心頭で帰ってくる。初めのうちは亡くなった方への同情を口にしていたが、今では迷惑以外の何物でもないと憤慨している。

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列車による自殺は死に方の中でも最悪だ。

何より死にざまが凄惨だ。車輪に巻き込まれればバラバラの肉片になり、あたりは悪臭と血にまみれる。

そして全く無関係の何万という人に迷惑をかけ、時にその人たちのかけがえのない機会をも奪う。

さらに残された家族には巨額の賠償金が請求される。その賠償金が支払えずに家族は家まで差し押さえられたという話を聞く。

家族には本人の死の悲しみと賠償責任の二重の責め苦を与えることになる。

そう、死んでも誰にも同情してもらえない。

 

 

実は僕も名鉄電車で死にそうになったことがある。

昔、家から西に800メートルくらいの所に名鉄三河線が走っていた。2005年4月に廃線になった碧南-吉良吉田線である。

 

西尾市立平坂中学校へ行く手前に遮断機の無い踏切があった。

僕は母の背中に負われて灯りの無い夜道を自転車で走っていた。多分、僕が幼稚園児か、それ以前だったろう。

母は泣きながら踏切に向かっていたのである。自殺するつもりだったのだ。

父のこと、姑さんのことなどで母は毎日地獄のような苦しみを味わっていた。飲んだくれの父と嫁いびりの厳しい祖母の間で生きる希望を無くしていたのだ。

僕を道連れに踏み切りに飛び込もうと考えていた。

 

かあちゃん、うちへ帰ろう?」

その時、背中の僕が母にそう言った。

 

母ははっと我に返り、自殺を思いとどまった。「可愛い我が子を道連れに死のうなんてなんてことを。この子の為にも生きなきゃ‥」と。

これは父と祖母が亡くなって僕が大人になってから母から聞いた話だ。おぼろげながらその光景は僕の脳裏に焼き付いている。

母の背中でスヤスヤ寝ていたら、今ここに僕はいなかったかもしれない。(笑)

 

世の中、辛いことは沢山ある。いや、楽しいことより辛いことの方が圧倒的に多いものだ。でも、歳食って後になってみりゃ、みんな懐かしい思い出だ。

 

自分の人生の最後に見る眺めが、自分の手足が引きちぎられる光景なんて、あの世へ行っても幸せになれない。

いま死にたいと思っているアナタ、今の辛さは死ぬまで続きはしないから。もうちょっと図太くなってみなさいよ?

 

歳食や嫌でもお迎え来るんだから。

インプラントって一生ものじゃなかったの? 1

こんにちは。

 

インプラントの寿命? 大体15年くらいだよ。」

歯科医師は何事もないようにそう言い放った。

 

僕がインプラント手術を受けたのは25年ほど前、36~37歳の頃だったと思う。そのインプラントをついに取り外さなければならない時が来た。

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若いころから甘いもの好きで30歳前までに奥歯は虫歯だらけだった。最初にかかった歯科医が軍医上がりの先生で、あとで知ったことだが、進行した虫歯はすぐに抜いてしまうことで有名だった。僕はその先生に5~6本の奥歯を抜かれた。

右も左も奥歯を失った僕は一時は右と左をつなぐ金具付きの入れ歯をする羽目に。まるで老人みたいだ。

 

そんなことは恥ずかしくて誰にも言えなかったので、カミさんにも伝えずに結婚した。

それから何年か経った頃、インプラントという最新の歯科治療法が世に知られるようになる。人工歯根と言われた。

 

失われた自分の歯の代わりに人口の歯根を外科手術で顎に埋め込み、義歯をかぶせるというもの。入れ歯と違い取り外す必要が無く、自分の歯と同じように強く噛める、という夢のような治療法だった。

 

ぜひともインプラントをしてもらいたかった僕は、地元では施術する医院が無かったので、紹介してもらった名古屋の歯科医院で手術を受けることにした。

 

手術時間は約30分。局所麻酔をしているので痛みはさほど感じなかったが、大きく口を開けたまま、口の中から漂う血の匂いを嗅ぎながら、ガリガリ顎の骨を削る音を聞き続ける30分はとてつもなく長く、辛いものだった。

綺麗になった歯を想像しながら「これが俺の試練なんだ。」と繰り返し自分に言い聞かせながらやっと耐えた。

 

手術は無事終了。麻酔から醒めるのを待って痛み止めと殺菌剤をもらい、帰宅の途に就いた。

 

ここまでインプラントに寿命があることは知らされなかった。