館長の気ままな日記

三河工芸ガラス美術館の館長(オーナー) " カズ " こと神谷一彦の勝手気ままな独り言です。

三河工芸の館長が書く日記です

1971 マスタングマッハ1 クォーターパネル溶接実験2

こんにちは。

 

鋼材屋でSPCCの1ミリ厚鉄板を買ってきて長手方向に10センチ幅で切った。

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一方の端はギャップ1.5mmでクランプする。

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もう一方は幅8ミリくらいに広めにとった。これは僕がお世話になっているプロの板金塗装屋さんの言葉を思い出したからだ。それによると

「うまい板金屋さんは溶接の縮みを最初から計算に入れて反対側のギャップを広くして狭い方から順番に溶接して行ってひずみが出ないようにするらしいよ。」

なるほど、理屈ではそうかもしれない。

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端から順に溶接していったところ、4つ目を溶接したあたりで反対側がくっつきそうになり実験の失敗は明らか。なかなか計算通りにはいかない。溶接部を切断してやり直しだ。

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今度は一方のギャップを3倍の24mmにする。

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ところがこの方法だと途中のギャップが3ミリ以上になって、1.5ミリのギャップを保つという実験の前提が崩れてしまった。

 

考えてみればおかしな話だ。溶接部が収縮するという絶対的な現象がある限り、どういうギャップの取り方をしようと、ギャップを一定に保つことなどできないのだ。

 

単純に考えればわかる。 最初の点溶接ではひずみは起こらない。点が縮むだけだ。

二つ目の溶接でも点の位置が真ん中であれ、端っこであれ二枚の鉄板が二か所で固定されただけでひずみは起こらない。

問題は3つ目だ。二点でギャップが固定されてしまったところへ3点目が溶接されて無理やり収縮する。ひずみは三つ目から始まる。

ご覧の通り、鉄板全長を溶接するのを待つまでもなく鉄板は膨れ上がる。

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それでもひずみを少なく抑えることはできそうだ。

強い電流で短時間に溶接を終わらせれば入熱を押さえられる。

 

その時、僕の頭にあるアイデアが浮かんだ。

1971 マスタングマッハ1 クォーターパネル溶接実験1

こんにちは。

 

いよいよ右クォーターパネルの修復準備が整った。

クォーターパネルの下半分を交換するという大手術だ。いやがおうにも慎重になる。

ユーチューブ動画など、インターネットにはクォーターパネルの修復動画はゴマンとある。

が、やり方は多種多様。

しかも、溶接ひずみについて説明している動画は一つもなかった。

溶接ひずみが無いわけはなく、恐らくみんな厚塗りパテでライン修正しているのだろう。

僕はそれはイヤだ。面やラインは本来板金で出すべきものであって、パテは微妙なラインの最終仕上げに限って使って欲しいと思うのだ。それが板金ってぇもんだ。

 

ラップ溶接はビギナー向けだとユーチューブ動画で言っていた。となるとこれを使うには抵抗がある。できればプロの技を目指したいからだ。それにラップ溶接には板金の重なり部分に段差を付けるため、専用のエアープレスが必要になるらしい。

僕は突合せ溶接をすることにした。

そこでクォーターパネルに見立てた鉄板を溶接して歪み具合を見ることにする。

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炭酸ガスの半自動溶接機を使う場合、ギャップが必要で、1.5mm~2mmのギャップを開けることになっていた。

素晴らしき寺中生

こんにちは。

 

きょうは午後から寺津中学の1年生たちが校外学習にやってくる。

本来なら仕事の手を取られるのでちょっぴり面倒な依頼なのだが、寺津中の生徒たちは毎年とても好感の持てる子たちが来るので受け入れることにしている。

 

寺津中学は西尾市でも南のはずれにあって、一色町吉良町と合併する前は最南端にあたる中学だ。

生徒数は市内の他校に比べればうんと少ない。その分先生の目が届くというか、とても素直で礼儀正しい子たちが多いと思う。

 

今回も先に美術館の見学をしてもらってその後質問を受ける。

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たいてい聞かれることは決まってくるのだが、今回の生徒たちはちょっと違った。

 

「いいアイデアを出すのに何か秘訣はありますか?」という質問があった。

おもしろい切り口である。

僕は「掃除をするといいよ。」と答えた。

 

僕はアイデアに詰まった時など庭の掃き掃除をすることがある。机の前で悶々と考えていても出てこないものは出てこない。そんな時、掃除がいい。しかも頭を使わない単調な掃除がいい。

身体を動かすことで血の巡りが良くなり、気分もリフレッシュされるので、ふっといいアイデアが浮かぶことがある。

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続いて、「このお仕事を始めて思い描いていたのと現実との間にギャップはありますか?」という質問。

こんなの中1の質問とは思えない。もちろんあると答えたが、あるからこそ理想に近づくために頑張るわけだ。

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最後にこんな質問があった。

「今のお仕事の将来性をどう思いますか?」

大人がタジタジするような質問だ。僕はあると答えた。西尾市も愛知県も観光、とりわけ外国人観光客の誘致に本腰を入れ始めた。僕はうちの出番だと思っている。

 

中一の彼らは僕が想像する以上に大人だった。考えることはしっかりしているし、礼儀正しく、しかも謙虚である。

タメ口しか利けない大人よりはるかに爽やかで神々しい。

むしろ教えられたのは僕の方だ。天狗にならず謙虚に生きよう。卑屈にならず前を向いて歩こう。

 

最後に生徒の一人が握手してくださいと言ってきた。

相手がいくつでもファンは嬉しいものだ。

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彼らを見ていて日本の将来は明るいと思えた。

すんげ~、よーやる

こんにちは。

 

きょうは風が強く、寒い日だったが、午前中はよく晴れた。

突然、カミさんが、

「ねえ、見て見て。あんな高い所に人が。」

見ると鉄塔にヘルメットをかぶった作業員が何人か登っている。

 

美術館の東にはいくつもの田んぼが続いていて、その中に高さ30~40メートルの送電線鉄塔がある。送電線の一方はは碧南火力発電の方へ伸びて、もう一方は豊田、岡崎方面に伸びている。

この鉄塔から電線は枝分かれして近くのトーレの工場の変電所につながっている。

 

塔には作業員が5人ほど、左下の地上には監督者の姿も見える。

塔の先端は太陽の光で見えない。

ちょっと絵になる写真だと思わないか? 塔の先端に輝くのは文明の光だ。それを人間が支えている。

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命綱一つに身を任せ作業する技術者たち。

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彼らは何をしているのだろう。

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あんな高い所へ登って足がすくんでしまわないのだろうか。

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ヘルメットはしているが、落ちれば役に立たない。

なんだか彼らがとても頼もしく見える。

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僕はとても真似できない。(笑)

USBフラッシュメモリーの寿命

こんにちは。

 

僕はこのブログをはじめ、インターネットやメールのやり取りはWindows10のノートパソコンを使っている。

一方、デザインやカッティングマシンの操作には古いWindows2000のノートを使っている。こちらはインターネットに接続していないのでセキュリティーの更新はしない。そのためいつまでもサクサクと動く。

 

デザインにはアドビのイラストレーターというソフトを使うのだが、最近になってデーターの保存がとても遅くなった。しばらくフリーズ状態になるのだ。

 

ハードディスクのパフォーマンスが低下しているのではと思った僕はハードディスクをSSDに交換したのだが、いっこうに改善されなかった。

 

もしやと思いいつも使っているUSBメモリーを新品に替えてみたところ劇的に改善、サクサクである。

 

以前、突然、USBメモリーのデーター読み込みができなくなったり、「データーが壊れています」の表示が出たことがあった。

使い始めた当初はUSBメモリーはず~っと使えるものだと思っていたのだが、しばらくしてから寿命があるものだと知った。しかも意外に短命らしい。

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古い仕事の記録など、消えてもさほど気にならないが、家族の写真など、大切な思い出も今ではちっぽけなUSBの中だ。壊れてしまっては困る。

 

古~いUSBのデーターは新しいUSBに入れなおそう。

 

「転ばぬ先の杖」である。

1971 マスタングマッハ1 右ホイールハウス修復3

こんにちは。

 

パテを塗って研磨した部分にメタルレディー処理を行う。

研磨部分に液を保つためのティッシュペーパーを貼りつけ、メタルレディーをスプレーする。

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気温20℃で30分くらい濡れた状態を保つ。

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グレーに処理されたホイールハウス。

POR-15メタルレディー(メタルフレップ)は錆止め効果と上塗り塗料の密着向上の効能をうたった薬液であるが、使用後に水洗いしなければならない。単体部品なら処理を行ってもいいが、洗浄の困難なアッシー(組立後の板金)には行わない方がいいとおもう。

それにメタルレディーはメーカーが言うほどの錆止め効果、塗料の密着効果は無いと思う。何十回とテストした僕の経験だ。

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クォーターパネルとの溶接部分、ホイールハウスのリップ部分にスポットジンクをスプレーする。

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スポットジンクを塗ったところ。

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ホイールハウス全体にPOR-15ラストプリベント (1液ウレタン錆止め塗料) を刷毛塗りする。

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気泡があったのでそこだけタッチアップしようとカッターの先で突いたらPOR-15はペロッとめくれた。

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僕はこの時まだ、POR-15が生鉄板(メタルレディー処理をしても同じ)に密着しないことを疑っていなかった。

ヒーター乾燥機リフレッシュ!

こんにちは。

 

以前、ヤフオクで購入した塗装用遠赤外線ヒーター乾燥機で、3基あるヒーターのうち2基が熱くならないトラブルがあったが、結局電源ケーブルの間違いで、ヒーター自体には何のトラブルもなかった。

やれやれである。一時は買い替えも覚悟しただけになんだか儲かった気分。

 

こうなるとなんだかこの乾燥機に愛着がわいてきて、ちょっと綺麗にしてやろうと思うようになった。

錆びたヒーターガードを外してワイヤーサンダーで磨いたり、腐食でくすんだパネルを磨くことにした。

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表面がざらざらでグレーになった反射板。本来はこんなんではなかったはずだ。

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いっちょ、磨いてみよう。使うのはこれ。スチールウールに金属磨き、それにミニポリッシャーだ。

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初めにざらついた表面の酸化物をスチールウールで磨きとる。あまり力を入れるとアルミ製の反射板に深い傷が残るので軽く入念に磨く。

その後ミニポリッシャーに金属磨き「ピカール」を付けて磨くと‥、

物が反射して見えるまでになった。

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そんなことに手間を掛けてなんになるのと思う人もあるかもしれない。

そう思う人は合理的だ。 多少は熱反射が良くなるかもしれないが多分、たいして変わらない。 けど、

それでいいのだ。

 

それがアートってもんだ。(笑)