こんにちは。
きょうは思いがけない来客があった。
黒づくめのツーピースに大きな金色のチェーンのネックレスが印象的な、品の良い初老のその女性は、美術館に入るなり、
微笑みながら「わかる?」と言った。
入るなり「わかる?」というお客様も珍しい。
僕は何のことだか分からずに、「と言われますと?」と答えた。
「分からない?」
僕も相当鈍い。
「何をおっしゃられているのか・・」その時やっと思い出された。
僕とカミさんがガラス工芸のバーナーワークを教えていただいたH先生だ。
思い出せてよかった。とんだ失礼をするところだった。
僕達がバーナーワークを勉強したのは今から25年ほど前で、東名高速を使い、西尾から春日井まで車で月に2回ほど通った。
僕達が西尾でバーナーワークの教室を開くためだった。
僕は1年ほどでやめてしまったが、カミさんはその後もしばらく一人で通い続けた。
遠くて通うのが大変だったのだ。
美術館には先生の作品が展示してある。2階展示室に入ると真っ先に目に入るのが「ガラスの花」だ。三河工芸ガラス美術館開館当初から今に至るまで17年間ずっとこの場所に展示してある。
小さな作品ながら華やかさがあり、来館者は真っ先にこの「ガラスの花」に見入る。
ライトアップにより花は刻々と色を変える。
瞬くように色を変える花は季節の移ろいを思わせるようだ。
緑の花も幻想的だ。
もう一つは「ガラスの樹」。
繊細な枝一本一本を細心の注意で丁寧に付けていくプロの技だ。
バーナーワークには他のガラス工芸に比べると派手さは無いものの、その技法は実に細やかで、上達に最も時間を要する工芸でもある。
先生が手土産を下さった。三越の包装紙だった。名古屋に立ち寄ってわざわざ買って下さったのだ。
ゼリーの味はそれぞれ違う。バラの花はバラの香りがした。
全種類を食べるのが楽しみだ。
H師匠、ありがとうございました。 ^ ^