館長の気ままな日記

三河工芸ガラス美術館の館長(オーナー) " カズ " こと神谷一彦の勝手気ままな独り言です。

三河工芸の館長が書く日記です

1971 マスタングマッハ1 クォーターガラスの交換1 取り外し

こんにちは。

 

マスタングのクォーターガラスは小さく、基本的に開け閉めすることはない。

そもそもマスタングはパーソナルスペシャティーカーなので狭い後部座席に人を座らせること自体がまれだ。

だからガラスに開け閉めによる擦り傷はあまりできない。今回交換するガラスも縦の傷は少ないが、飛び石によるかけがあるので交換することにする。

その様子を今日と明日、2回に分けて紹介する。

 

僕にとってクォーターガラスの交換など初めてで、やり方など知らない。

マスタングオーナーの複数の友人に尋ねたが誰もやったことがないという。こうなったら自分で考えながらやるしかない。

以前、名古屋の整備士さんにやり方だけ聞いたことがある。

 

クォーターガラスにはステンレス製のモールとゴム製のウエザーストリップが付いている。ガラスを交換するにはこれらをガラスから外さなくてはならない。

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まずはくたびれているウエザーストリップだ。ウエザーストリップはモールにスライドさせるようにはめ込まれていて、モール下部の曲がりに通すことでモールが抜けないようになっている。 取り外すには曲がった部分からゴムを抜かなくてはならない。

たいていゴムがモールに固着していたりするので精密マイナスドライバーなどを接触部分に突っ込んで貼りつきを剥がす。

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固着が剥がれたらウエザーストリップを上に抜き取る。ところが実際には固着がひどくて抜けないことが多いようだ。そういう時は勘合部にシリコンを吹き付けるなどして根気よく剥がすしかない。以前、整備士さんがやるのを見たことがあるが、最後はニッパーやラジオペンチなどでゴムをちぎりながら芯の金属板を引き抜いていた。

今回は意外にスムーズに抜けた。

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次にモールを外す。モールはゴムのようなものを挟んでガラスに取り付いているだけなので本来なら引っ張れば抜けると思うのだけど、どっこいそうは問屋が卸さない。

しっかり固着している。仕方ない。50年近く経っているのだから。

 

ヒートガンで温めてみるがびくともしない。

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次にシリコンオイルを付けたカッターや金属へらでゴムを切り離しにかかる。ところがカッターは刃が折れ、へらは曲がってしまう。

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力の限り引っ張るが全く動じる気配がない。

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もう一度ヒートガンで温める。温度は300度設定。急過熱しないように全体を温めながら温度を上げていく。そして引っ張る。 するとようやく動き始めた。

ゆっくりとモールを引き離していく。

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ゴム(ビニール?)はプラスチック状になってカチカチ。ガラスにも貼りついてボロボロになる。

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取り外したモール。細かな傷が無数にある。モールはガラスやウエザーストリップと違ってレプロが発売されていない。現有品を大切に再利用する。

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折角だからきれいに磨いて傷を取ってみよう。使うのはステンレス磨き剤。

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ステンレスの傷取りはかなりの重労働だ、なかなか傷は消えない。

ま、このへんでいいかな?

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以前、整備士さんが外したモールと比べてみると曲がり部分の折り曲げがオリジナルよりも開いている。どうやら以前、ウエザーストリップを取り外して交換したみたいだ。

だからすんなり抜けたわけだ。左が今回のモール。

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このままではまずいので直しておこう。溝がつぶれないように真鍮のフラットバーを溝に挟んでハンマーで叩く。真鍮バーはありあわせのものを使ったので4つ穴が明いているが目的とは関係ない。

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折角取り外した貴重なモールは洗剤で隅々までクリーニング。

 

明日はガラスの取り付けだ。