館長の気ままな日記

三河工芸ガラス美術館の館長(オーナー) " カズ " こと神谷一彦の勝手気ままな独り言です。

三河工芸の館長が書く日記です

落し物が戻る国

こんにちは。

 

美術館に忘れ物や落し物は時々ある。

一番多いのは傘で、雨が降るとたいてい1本2本は置き忘れがある。

取りに来られるかもしれないので半年くらいは保管するが、たまる一方だ。

イヤリングやピアスを失くしたという連絡もあるが、思い違いであることも多い。

スマホの忘れ物も多いが、たいてい持ち主が現れる。肝心なのはそれらを拾って受付までお客様が届けてくださるということ。

 

先日、NHKのニュースで、空港で財布を落として困っていた高校生に航空券代6万円を貸して名も告げずに去った恩人を探し当ててお金を返したという心温まる美談を放送していた。

落とした財布はその後戻ってきたというが、うちの美術館でもこういうケースはよくある。

 

つい1週間くらい前、お客様の一人が財布をもって「3階の〇〇のところに財布が落ちていました。」と僕のいる受付に持ってきてくださった。

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カミさんは館内を回って「財布を落とされたお客様はいらっしゃいませんか?」と呼びかけたが、該当する人はいなかった。

仕方がないので中身を確認すると数万円の現金と沢山のクレジットカード、それに免許証が入っていた。

有り難い。免許証があれば持ち主が分かる。だけど電話番号など、連絡の手段が無い。

こういう時はしばらく保管して様子を見る。

 

しばらくするとシニアの男性がやってきて、不安な表情で「財布の落し物は無かったですか?」と尋ねた。

カミさんは「ありますよ。館内のお客様が届けてくださいました。良かったですね!」

男性は安どの表情を浮かべて「よかった~。」と言った。

 

その場で中身を確認してもらい、お返しした。

男性は何度も何度もお辞儀をしながら帰って行った。

 

先日の雨の日など、傘を間違えて持ち帰ったお客様が、その傘の持ち主が困っているだろうからと、わざわざ引き返して届けてくださった。傘の持ち主はうちのステンド教室の生徒さんだったが、律儀なお客様の行動に感激していた。

 

だけど、これらのことはうちの美術館では普通のことなのだ。

 

以前、どこかの国で、道路で現金の入ったアタッシュケースを落とし、開いたケースから現金が風でまき散らされると近くにいた人たちが一斉に群がり、制止する持ち主を無視して現金を持ち去ってしまった映像を放送していた。

こんなことは日本では起こらないだろう。

 

日本に生まれて良かったと思う。