こんにちは。
夕暮れ前のいっときを決まってネムノキの梢で羽を休める鳥たちがいる。
美術館の前に、ボウガシの根元から勝手に生えたネムノキが今では大きくなって、夏ともなれば焼け付くアスファルトの上に優しい日陰を作ってくれる。
冬の今は葉を落として枝だけの殺風景な姿を呈しているが、夕方になるとここに小鳥の花が咲く。
決まってやってくるのは丸々と太った茶色の小鳥で、大きさはスズメの倍くらい。
たいてい4~5羽止まっている。
おもしろいのはこんなちっちゃな鳥たちにも個性があって、それぞれ違った行動をする。
5時を回った頃、僕が美術館トイレの電源を切り、門を閉めに行く時だ。
僕は鳥たちを見ないようにして歩いていく。鳥たちは僕を見ていて目が合うと逃げてしまうからだ。
目を合わさないでも近くを歩いただけで真っ先に逃げて行く小心者が一羽いて、そいつは「キーキー」鳴きながら北の畑の方角に飛んでいく。
門と外の駐車場を閉めて帰ってくる頃にはまだ3羽くらいいて、僕が見上げるとそのうちの2羽が畑の方に飛んでいく。
最後に残った1羽は僕が走ったり手を叩いたりしなければしばらくそこに止まっている。
度胸がいいのかおおらかなのか分からないが、僕はこいつが気に入っている。
それにしても彼らは毎日ここで何をしているのだろう。井戸端会議だろうか。
「きょうはどうだった?」
「まあまあかな。」
「おいらさっぱりだよ、はらへった。」
「わたしも。」
最後までここにいたこの子は、
「きょうも一日がんばったな~」
ってか。