館長の気ままな日記

三河工芸ガラス美術館の館長(オーナー) " カズ " こと神谷一彦の勝手気ままな独り言です。

三河工芸の館長が書く日記です

“ 潮騒 ”の島 神島12 最終回 照爺の家

こんにちは。

僕は神島の映画のロケ地が期待通りで興奮したのか、なかなか熟睡できなかった。

まだ夜も明けやらぬ4時ごろ。しらじらと青みを射してきた東の空を見て日の出が撮りたくなった。が、これから日の出までがずいぶん長かった。

沖では穏やかな海を早々と漁船や大きな貨物船が行き来している。鳥のさえずりも聞こえる。鳥は早起きだ。

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日の出は神島の東山にさえぎられて見ることはできなかったが、黄金色に染まる雲を見て、日の出を知ることができた。

7時の食事までまだ2時間以上あるので、また寝ることにする。

 

 

朝食も豪華だ。朝から鯛のあら煮と刺身が出た。そして伊勢エビのみそ汁も。これが旨いんだ。旅館の精一杯のサービスを味わう。

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伊良湖行きの出港は11時。まだゆとりの時間がある。さりとて脚は昨日の疲れを引きずっていて、とても石段を登って水汲み場を探す気にはなれなかった。

だけど初江の父、宮田照吉の家はまだ残っていて、八代神社の鳥居のすぐ向こうにあると女将さんが教えてくれた。そこなら10分で行ける。

今度は違うルートで鳥居まで行く。浜通りの郵便局の東の道から入る。それは神社正面の参道だった。

参道まで女将さんが案内してくれた。足取りが軽い。さすが島の人だ。

 

鳥居の先の石段を登らずに左に行くと神社の宝物殿と空き地があり、その下に宮田家が見えるという。さっそく行ってみる。

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おぉ! 映画のままの家が、路地がそこにあった。窓や外壁の手直しはされているが佇まいは昔の面影を保ったままだ。よく手入れされていて当時の雰囲気をよく伝えている。

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映画のシーンの宮田家。玄関の前で新治の母親(清川虹子)が髪を整えている。今から照爺に会いに行くのだ。写真を撮った場所が違ったのか、僕の写真には手前の瓦屋根が写っていない。

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 宮田照吉(左:石山健二郎)に新治と初江の交際を許してやるよう説得に来た灯台長の奥さん(右端)。奥さんは女学校の教師上がりでインテリである。

家の中はこんな感じなのだろうか?

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この写真は旅館「山海荘」に飾ってあったもので、2013年6月に吉永さんが神島を訪れたときのもの。吉永さんが持っている白黒の写真は、映画撮影当時の若い吉永さんと女将さんたちが一緒に写った記念写真だ。

何ともステキな再会だ。

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島を離れるときの吉永さん。心なしか目が潤んでいるようだった。

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映画「潮騒」はその撮影のほとんどをこの小さな神島で行っていて、しかも登場人物以外は架空ではなく、全て実際に島にある景色を使っている。そしてその多くが現在もそのままの姿をとどめているのだ。

そのことが神島の、小説の舞台として、また、映画のロケ地としての価値を際だたせているのだ。

 

僕はこの神島がとても好きになった。機会を作って是非また訪れたいと思う。

 

最後にこれからこの神島を訪れたいと思っている人は、是非とも日頃から歩いておくことをお勧めする。また、夏に観的哨へ行くなら蚊よけのスプレーをしていこう。

それと飲み水は必須だ。靴は是非ともウォーキングシューズで。パンプスやサンダルなんてもってのほか。

付け加えると、滞在中必要と思われるものは持参しよう。島には飲み物の自販機があるのみで、コンビニや売店はありません。