館長の気ままな日記

三河工芸ガラス美術館の館長(オーナー) " カズ " こと神谷一彦の勝手気ままな独り言です。

三河工芸の館長が書く日記です

鹿のステンドグラス製作 デザイン (3)

こんにちは。

K様より頂いた鹿デザインのアレンジを始めて1週間以上が経つが、ようやく出来上がった。

半額以下にするとなると、相当思い切ったダイエットをしないとダメだが、かといって最初の印象を大きく損ねるようではお施主様の納得が得られない。

そんなことを心に留めながらビフォー、アフターでご覧頂こう。

これがK様の元々の希望デザインだが、ガラスのパーツが1200ピース近くにもなるため、見積価格は100万円を軽く超えていた。

f:id:mikawakougei:20150320235514j:plain Before

 

アレンジした後のデザインがこれだ。全部で200ピースほどだ。 ずいぶん贅肉が落ちてすっきりした。ただし、こだわりの鹿はほとんど省略していない。

紅葉の葉っぱや下草が物足りないと思うかもしれないが心配はいらない。その理由は次回説明するね。

f:id:mikawakougei:20150321000742j:plain After

さて、ピースの数が 1/6 程度まで減ったのだから工賃も 1/6 まで下がると考えがちだが、残念ながらそうはならない。

なぜか? 理由は二つある。

一つは細かいピースに分けられたガラスは形がシンプルでカットしやすい。数は多くても一個あたりに要する手間は少なくてすむのだ。 一方、アレンジしてピース数を少なくしたものは、元のデザインイメージを出来るだけ損ねないようにと形状が複雑になる。当然、カットしにくく、ルーター(グラインダー)で延々と削らなくてはならなくなるんだ。

つまり、シンプルなガラスを切るよりも数倍の手間暇がかかるようになる。 ガラス数は減ったものの、一枚にかかる工賃は何倍にもなるわけだ。

 

二つ目の理由は材料取りの効率だ。細かいピースは小さな材料から少ない切りくずを出すだけで切り出すことが出来る。ところが大きく、複雑な形状のピースは大きなガラスから切り出すため、ガラスくずが大きく、捨てる部分が多くなるからなんだ。

こういうピースを切り出す場合、素材の面積はピースの面積の2~3倍になることもあるんだ。その分は当然、お施主様にご負担頂くことになる。

 

さあ、これで多分、半額以下に出来ると思う。

次回はガラス選び。

 

つづく