館長の気ままな日記

三河工芸ガラス美術館の館長(オーナー) " カズ " こと神谷一彦の勝手気ままな独り言です。

三河工芸の館長が書く日記です

お母さまのメモ

こんにちは。

 

「5年目にやっと来ることができました。」

遅掛けにやってきたお客様に帰りのコミュニティーバスの時間を説明している中で、お客様がそう打ち明けてくださった。

それは、そのお客様のお母さまが病床でテレビを観ていて書き残したメモがきっかけだった。

そのメモには「巨大万華鏡」と書かれていた。

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テレビ番組で当館の巨大万華鏡を観て、退院したら行きたいと思われたのだろうか?

その後お母さまは亡くなられて、メモを見つけたお客様はお母さまが行きたいと願った巨大万華鏡スフィアを見てみたいと思われたのだろう。

「ずっと辛くて来れませんでしたが、ようやく来れました。」と言って笑顔で帰られた。

 

こういう仕事をしているとお客様の人生の喜哀に触れることがある。

 

ずっと以前、ガラス体験に来てくれた若い女性もそうだ。その女性は友達数人とステンドグラス体験をしてくれた。

色白の美しい少女で今でもお顔ははっきり覚えている。口数は少なかったがとても喜んでくれ、最後には記念写真も撮った。

後日、その友人の女性が、その時撮った写真を貸してもらえないかとやってきた。

少女の遺影が無かったからだ。

少女は白血病でその時の写真が最後だった。

下はその時の詳しい記事です。

切ないことばかりじゃない。

先日など、30代後半のカップルが子連れでやってきて、二人の初めてのデートがここだったんですと笑顔で話してくれた。

その人の大切な思い出の中に、当館があるというのは望外の喜びである。