館長の気ままな日記

三河工芸ガラス美術館の館長(オーナー) " カズ " こと神谷一彦の勝手気ままな独り言です。

三河工芸の館長が書く日記です

逝った先輩たち (4) T営業所所長4

こんにちは。

種田さんの話に行く前に、やまちゃんのエピソードをもう一つだけお話ししよう。

前回も触れたが、やまちゃんはちょっと肥満気味のがっしりタイプで、いたって丈夫な人だった。もちろんやまちゃんは今でも健在で、相変わらず毎日酒を浴びているようだ。

 

何かにつけ頑丈な彼は病気になったのを見たことがない。

大隈の設計室では休憩時間でなくてもコーヒーなどの飲み物とタバコは吸っても良いことになっていた。だから名技センターの社員同士で500円ずつお金を出し合い、コーヒーを買っていた。

ネスカフェの一番安いレギュラーコーヒーの大瓶とクリープ、そして砂糖だ。

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普通の社員はだいたい1日2~3杯のところ、彼は5~6杯は飲んでいた。しかも他の人が小さじ1杯くらいコーヒーを入れるのに対し、やまちゃんは3~4杯は入れていた。

クリープや砂糖の使い方もはんぱなかった。それに輪を掛けて大きなマグカップ!

だからコーヒーはすぐになくなる。これで同じ500円かよ!と苦々しく思ったものだが、普段は優しいやまちゃんのこと、そこは黙ってこらえた。 たぶん他の人も苦笑いしてたんじゃないかな? (-_-;)

「胃は悪くならないの?」と、聞いたことがあったが

「全然!平気平気。」と涼しい顔だ。

ったく、たまには下痢の一つもしてみろっつーの。

 

やまちゃんにはもう一つ困ったことがあった。

ヘビースモーカーだったのだ。多分、一日2~3箱は吸っていた。

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とはいっても全部吸うわけではないのだ。そりゃそうだ。強健なやまちゃんとはいえ、タバコを3箱も根本まで吸ってりゃ、たいがい肺ガンになろうってもんだ。

タバコにちょっと火を点けては図面を描くものだから殆ど吸わずに燃えていった。

 

ところがこれが困りものなのだ。

当時大隈の設計室では縦に製図台が並べられていた。製図板は机の上に三角のやぐらを横にしたような台を置き、それに立てかけてあって、横には資料を置くための脇机があった。

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やまちゃんは灰皿を自分の後ろ、僕の製図板の裏に置いていたのだ。やまちゃんはタバコに火を点けると一息吸い、後は前を向いて図面を描く。そして気が付いたらまた振り向いて一服。

1本のタバコを多分3回くらいしか吸わない。

 

こちらはたまったものではない。僕も当時タバコは吸っていたが、一日中副流煙がこちらに漂ってくるのだ。

僕はやまちゃんが製図板に向かうと、こっそり火の点いたタバコの先をハサミで切ってやるのだ。

しばらくすると「あれっ?」という顔でタバコを見ている。火を点け直してまた図面に向かう。

 

そんなことを3~4回繰り返すうちに、僕だと気付いたらしく、こちらをのぞき込んで、

「神谷君かぁ・・。」と笑った。

 

神谷君かぁ、じゃねぇよ。