館長の気ままな日記

三河工芸ガラス美術館の館長(オーナー) " カズ " こと神谷一彦の勝手気ままな独り言です。

三河工芸の館長が書く日記です

貧困を知ることは豊かさを知ること

こんにちは。

 

昨夜はまるで台風のような暴風雨で倉庫内はとても賑やかだった。どうやらあれが春一番だったらしい。これで暖かくなってくれればいいのだけれど。

 

最近、アルマーニの制服がどうだとか、某落語家のツイートが炎上したとかお金にまつわるニュースが話題になっている。

是非はともかく、貧しさを知っていることは悪くない。

 

僕が子供の頃はとにかく貧しかった。

祖父は議員を何年かやって散財し、父は仕事でコケて酒におぼれ、身体を壊して入退院を繰り返していた。

そんなわけで一家の家計を支えたのは母だった。母は二つ三つ仕事をかけ持ちしていて朝早くから夜遅くまで働いた。

 

隣町の平坂町で鋳物屋に勤めていた母を夜迎えに行って、帰りに駄菓子屋でお菓子を買ってもらうのが僕の楽しみだった。

 

ある夏の夜、母を鋳物屋に迎えに行って帰り路、母が

「アイスキャンディーを買おうか。」と言った。

帰り道にある駄菓子屋に入るとアイスキャンディーを1本買ってくれた。

青色で四角い棒アイス。1本5円の一番安いキャンディーだ。母の分はない。

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そのとき、店にいた40代と思われる男性客が僕たちを見て、

「田舎もんはあかんなぁ。」と言って笑ったのだ。その男性客はその店の常連らしく、店主もその客に合わせて笑った。

 

貧しくて今はそのキャンディーしか買えない。

その時母は僕につぶやいた。

「今に見ておれ。頑張ってお金を貯めて見返してやるから。」

 

もちろん、どこの誰だか分からないので見返すことはできないが、母が今までにも増して頑張ったのは想像に難くない。

 

あの頃に比べれば今の世の中は本当に豊かだ。

国民みんなが頑張ったからだ。

SNSで炎上なんて世の中が豊かな証拠だ。本当に貧しかったらそんなことやってる暇はない。

 

かく言う僕もついつい不平不満を抱きがちだが、貧しい時を知っていると少々のことにはへこたれない。

これは天国の母譲りだ。(笑)