館長の気ままな日記

三河工芸ガラス美術館の館長(オーナー) " カズ " こと神谷一彦の勝手気ままな独り言です。

三河工芸の館長が書く日記です

逝った先輩たち (16) 電車内の出来事

こんにちは。

僕たちメイテック派遣社員は大西さんを除いて全員アイシン城山工場を引き払い、中部事業部の設計室に戻ることになった。ここで次の派遣先が決まるまで待機がてら技術研修をするのだ。

 

西尾の自宅から名古屋市矢場町の中部事業部までは名鉄電車と地下鉄で1時間半ほどかかる。

西尾は交通の便が良くない。車を使っても電車を使っても名古屋へ行くのに時間がかかる。現在は国道23号線バイパスができたおかげで車なら40~50分で行くことができるようになったが。

 

今はほとんど乗らなくなってしまった電車だが、電車通勤しているといろんなことに出くわした。

ある日の帰りの電車内のことだ。両脇にベンチシートのあるタイプの車両に運良く座ることができた。

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僕は下を見て読書にふけっていた。 と、そのとき、僕の前に立っている若い女性が突然大きな声を出して、

「やめてください!」と、右隣の男性を睨めつけた。

女性は背が高く黒っぽいスーツ姿。30歳前後だったろうか。

対する男性は作業服のような普段着姿で身長は160センチくらい、60歳前後だろう。

男性はすぐさま「何言ってんだ!」声の大きさは普通だったが、不満そうに女性を見て、すぐ正面を向きなおした。

5~6秒してからまた女性が普通の声の大きさで、

「あっちへいってください!」

「何言ってんだ。」

男性は正面を向いたまま不機嫌そうに首をかしげた。

車内は混雑してはいたが身動きがとれないほどの混みようではなかっったし、男性と女性の距離は腕と腕の間が10センチくらいはあったと思う。

目の前のことだが何があったか僕は見ていないし、周りの乗客も一旦注目したものの、すぐに平常に戻った。

 

こう言うと女性は不快に思うかもしれないが、僕はこの時、心の中で

「あんた(女性の方)が行けばいいじゃないか。」と、思ってしまった。女性の声が高圧的に聞こえたからかもしれない。

 

その後は男性も女性もその場を動かなかった。 どちらもいい根性をしている。

 

仮にその男性が僕だったらどうしただろう。

何もしていないなら言われたとおり席を離れれば認めたことにならないだろうか?何かしたとしても席を離れれば、やっぱりそうだったのかと思われかねない。

どっちにしても男性は動けない。

女性の方はどうだろう? 不快な車両からはさっさと離れた方が得策ではないのか?そこに居続ける理由はなんだろう?なんで私が逃げなきゃいけないの?というプライドだろうか?

 

あとでこのことをカミさんに話すと「私だったらさっさと他の車両に移るな。」と言っていた。

 

僕も今ではこの男性のようなおっさんの歳になった。

滅多に電車に乗ることはないけれど、仮に混雑した電車に乗り合わせたなら、両手でつり革に掴まることにしている。